上記のような疑問や悩みを持つ人に向けて、この記事では6年間製造業に身を置き、製造業で独立した私が工場派遣のありのままを本音で語ります。
この記事を読めば「工場派遣はやめとけ」と言われる具体的な理由が知れて、将来的に安定した収入を得る方法がわかります。
工場派遣は夜勤手当や深夜割増、時給が高いといった理由で、短期的に稼げますが、長期的に見ると不利になる点があります。
あらいこの記事を読んでいるあなたは、これから工場派遣を考えているか、すでに工場で派遣社員として働いているのだと思います。もしもあなたが長期的な安定を望むのであれば、ぜひ読み進めてください。
- 加工食品の製造を生業にする職人
- 小売業→加工食品卸売業→加工食品製造業と2度の転職を経験
- 加工食品製造業6年→加工食品製造業で独立
「工場派遣はやめとけ」と言われるのは本当？
「工場派遣はやめとけ」と言われるのは本当なのでしょうか？
工場派遣には夜勤が入る場合があり、深夜割増や夜勤手当により、高い収入を得やすいというメリットがあります。
一方で健康リスクがあることや、ボーナス・退職金がないことにより、将来性や安定性に不安を抱く人が多いことも事実です。
この章では、まず工場派遣の仕組みを理解し、そのうえで「やめとけ」と言われる具体的な理由を掘り下げていきます。
①工場派遣の仕組みと働き方の特徴
工場派遣の基本的な仕組み
工場派遣は労働者が派遣元である派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の工場で働くスタイルです。
工場が直接雇用するのではなく、派遣会社が雇用主となります。
給与の支払いや福利厚生は派遣会社が担い、派遣先は業務を指示します。
工場派遣の働き方の特徴
工場派遣はシフト制や短期契約が多く、柔軟に働きやすい反面、不安定さも伴います。
シフト制や短期契約が多いのは、繁忙期や人員補充の需要に合わせて契約されるからです。
たとえば繁忙期には残業や夜勤が増えることが多いですが、閑散期には契約終了となるケースもあります。
あらい私が勤めていた加工食品卸売業の会社では、経営状況の悪化により、派遣社員さんが急に出勤しなくなりました。いわゆる派遣切りですね…。
理解しておくべき前提
派遣は「即戦力を求められる働き方」であり、長期的なキャリア形成には向きにくいと言えます。
正社員のような教育制度や昇進の仕組みが、派遣社員には用意されていないからです。
当然、任される業務も単純作業のような仕事が多くなり、専門的な知識や技術を身につけることは難しくなります。
②「工場派遣はやめとけ」と言われる理由5つ
理由①：労働期間に限りがあるから（3年）
「工場派遣はやめとけ」と言われる理由の1つに、同じ工場で長期間働き続けられないことがあります。
派遣法（第三十五条の三）で原則3年までと定められているからです。
あらい工場派遣では原則3年までしか働けず、先行きが不透明なことから「やめとけ」と言われると考えています。
なお無期雇用の派遣労働者（常用型派遣）は、上記に該当しません。
理由②：昇給やボーナス、退職金がないから
長期的な収入の安定が期待できないことが「工場派遣はやめとけ」と言われる理由の1つです。
派遣社員は正社員のような昇給・賞与制度の対象外であるからです。
求人情報でも「時給制」がほとんどであり、昇給や退職金が記載されていない案件が大半になっています。
理由③：スキルや専門知識が身につかないから
工場派遣はキャリア形成おいて、不利になることがあります。
単純作業や限定的な業務が多いため、汎用的なスキルや知識が得にくいからです。
あらい私は加工食品工場でたまたま当時の工場長に気に入られ、加工食品製造のスキルを身につけられましたが、私のケースはレアであり、派遣ではなおさら専門知識やスキルを身につけることは難しいと考えています。
当時私は正社員でしたが、もしも立場が派遣社員であったなら、工場長の指導を受けることはなかったでしょう。
理由④：夜勤があるから
工場派遣は夜勤があると、体調管理が難しくなるケースもあります。
24時間稼働している工場では交代制勤務のため、生活リズムが狂うからです。
あらい厚生労働省の研究（睡眠時間，夜勤とその他の生活習慣病リスクとの相乗効果に関する研究）では、生活習慣病のリスク要因の1つとして、夜勤が挙げられています。
夜勤には深夜割増や夜勤手当といったメリットがある一方で、長期間に及ぶ夜勤では健康リスクが高まります。
夜勤のメリットや健康リスクに関して、詳しくは次の記事をご覧ください。
理由⑤：体力が必要となる作業があるから
工場派遣は体力に自信がない人にとって、負担が大きい働き方になる可能性があります。
立ち作業や重量物を扱う作業が多いためです。
あらい私が勤めていた加工食品工場では仕上がった製品を数十キロにまとめて、冷蔵庫に手で運び入れる作業がありました。当時は「この業界に腰が悪い人が多いのはこのためか〜」と納得していました。
体力が必要となる作業があることが「工場派遣はやめとけ」と言われる理由の1つと考えています。
工場派遣のデメリットを徹底解説
工場派遣は「すぐに働ける」「高時給」といった魅力がありますが、実際には多くのデメリットも隠れています。
あらい短期的には問題がなくても、長期的に働くなかで「やめとけばよかった」と感じる人も少なくはないと考えているからです。
この章では工場派遣の代表的なデメリットを見ていきましょう。
- デメリット①：収入が安定しにくく将来設計が立てづらい
- デメリット②：雇用が不安定で正社員登用が難しい場合が多い
- デメリット③：スキルやキャリアが積みにくい
- デメリット④：人間関係や労働環境に左右されやすい
デメリット①：収入が安定しにくく将来設計が立てづらい
工場派遣では安定した収入を得にくく、将来の生活設計が難しくなります。
理由は繁忙期・閑散期によってシフトや勤務日数が大きく変動するからです。
あらい私が勤めていた加工食品問屋では、派遣社員はおもに配達を担当していましたが、取引先からの注文が少なくなると出勤日数が少なくなっていました。
長期的な家計管理に不安を感じる人が、工場派遣では多いと考えています。
デメリット②：雇用が不安定で正社員登用が難しい場合が多い
派遣社員から正社員へのステップアップは難しいのが現実です。
企業側は短期的な人員補充を目的に派遣を利用しているケースが多いからです。
あらい私が勤めていた加工食品問屋や取引先の小売店は、不況の影響で業績が悪くなると、派遣切りをしていました。
デメリット③：スキルやキャリアが積みにくい
工場派遣では汎用性のあるスキルや専門性を高めにくくなります。
派遣社員が担当するのは単純作業や限定的な工程が多く、経験がキャリアに直結しにくいからです。
私が勤めていた加工食品工場おける、派遣社員のおもな業務は下記です。
- 製造ラインの一部の手伝い
- 検査
- 梱包・出荷
これらの業務では専門的な知識やスキルを身につけることが難しいため、キャリアアップにつながりづらいと言えます。
デメリット④：人間関係や労働環境に左右されやすい
工場派遣は職場の人間関係や環境に、強く影響されやすい働き方です。
派遣という立場上、正社員や契約社員、パートとの関係で孤立する場合があるからです。
あらい私が実際に目撃したのは、取引先におけるパートと派遣社員との対立です。オープニング当初から勤めているパートよりも、派遣社員の時給が高いために起きたトラブルでした。
このトラブルは結局、パートの大半が辞めることで収束することになりました（汗）
工場派遣のメリットも知っておこう
「やめとけ」と言われがちな工場派遣ですが、もちろんメリットも存在します。
とくに20代で「とにかく早く稼ぎたい」「正社員でなくてもいいから働きたい」という人にとっては、大きな魅力がある働き方です。
この章では工場派遣で得られる代表的なメリットを4つ紹介します。
メリット①：時給が高い
工場派遣に限らず、派遣社員は時給が高めに設定されています。
理由はいろいろあり、たとえば「人手不足を補うための即戦力がほしい」「昇給やボーナス支給をしなくて済む」といった理由があります。
あらい私が今まで経験してきた小売や卸売、製造といった業界では、派遣社員の時給が、正社員の時給よりも高く設定されていました。
メリット②：未経験でも採用されやすい
工場派遣は未経験でも働き始めやすい仕事と言えます。
教育に時間をかけないようにするため、マニュアルが用意されており、誰でも作業が直ぐにできるようになっているからです。
実際の募集要項にも「未経験歓迎」「学歴不問」と記載されている求人が大半を占めています。
メリット③：勤務地や勤務時間を選びやすい
派遣なら自分の希望条件に合わせやすい働き方が可能です。
派遣会社を通して、勤務地やシフト、残業の有無などをあらかじめ交渉できるからです。
あらい2021年の一般社団法人日本人材派遣協会の調査によると、派遣で働く理由で最も多いのは「働く時間や時間帯を選べるため」で43.3％、次いで「勤務地を選べるため」で40.1％となっています。
生活スタイルに合わせて働けることが、派遣のメリットと言えますね。
メリット④：派遣会社からサポートを受けられる
派遣社員は派遣会社からのサポートがあるため、安心して働けます。
契約管理や職場でのトラブルがあれば、派遣会社が仲介してくれます。
派遣社員は派遣会社に雇用される形であるため、派遣会社には派遣社員に対しての安全配慮義務が生じるからです。
あらい安全配慮義務は労働契約法第5条に定められており「使用者は労働契約に伴い、労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をするものとする」とされています。
安全配慮義務が適用される具体例としては、次のものがあります。
- 夜勤や長時間労働による健康被害
- 安全管理不足による怪我
- ハラスメントによる精神疾患
「今すぐ稼げる」と「長期的な安定」のギャップとは
工場派遣は「すぐに稼げる」という魅力がある一方で「長期的に見て不安が残る」と指摘されることが多い働き方です。
短期的な収入を得やすいことと、将来の安定性との間には大きなギャップがあります。
この章では、そのギャップの正体を3つの視点から解説します。
ギャップ①：工場派遣は短期的に稼げても、キャリア形成が難しい
工場派遣は短期収入には有利でも、将来のキャリアにつながりにくい働き方です。
業務内容が単純作業中心で、専門知識やスキルが身につきにくいからです。
あらい私が勤めていた加工食品工場では、専門知識やスキルを必要とする業務は正社員が担当するため、派遣さんやパートさんが専門知識やスキルを身につけることは難しい状況でした。
専門知識やスキルを身につけられないと、自分自身の市場価値を高められません。
結果、将来のキャリアチェンジに不利になることが多いと言えます。
ギャップ②：正社員との待遇・将来性の違いを比較する
派遣社員と正社員では待遇や安定性に大きな差があります。
正社員には昇給や賞与、退職金などの制度があるのに対し、派遣にはそれらがないからです。
終身雇用が崩壊しつつあり、必ずしも正社員が派遣社員よりも有利とは言えませんが、それでも現状において正社員は長く働けば働くほど有利と言えます。
20代のうちに考えておくべき将来設計
20代の段階でキャリアをどう築くかを考えることが重要です。
派遣での経験が長くなるほど、正社員への転職が難しくなる傾向があるからです。
実際に20代であればポテンシャル採用（応募者の人柄や将来性を見る）を実施する企業がありますが、30代以降になるとポテンシャル採用はなくなり、求人数もぐっと減ります。
工場派遣に向いている人・向いていない人
工場派遣はメリットもあればデメリットもある働き方です。
そのため「自分に合うかどうか」を見極めることが大切になります。
この章では工場派遣に向いている人と向いていない人の特徴を整理し、最後に判断のためのポイントを紹介します。
工場派遣が向いている人
工場派遣に向いている人は、体力があり、責任感を持ってコツコツ作業できる人です。
工場派遣では立ち作業や繰り返し作業が多く、集中力や根気が求められます。
あらい6年間、加工食品工場に勤めた経験上言えるのは「単純作業に集中できる」「体を動かすことが苦にならない」といった人は、工場勤務に適性があるということです。
工場派遣が向いていない人
安定した収入やキャリア形成を重視する人は工場派遣が不向きです。
基本的に契約期間が限られているため、昇給や昇進も期待できないからです。
また繁忙期と閑散期で収入に差があったり、派遣という立場上、専門知識やスキルを身につけられる業務ができなかったりします。
収入の安定を求める人、専門知識やスキルを身につけたい人には、工場派遣は向いていないと言えるでしょう。
自分に合っているかを見極めるポイント
「短期的に稼ぎたいのか、長期的に安定したいのか」を基準に考えると判断しやすくなります。
工場派遣は短期収入には強みがありますが、長期的なキャリア形成には向いていません。
あらい工場派遣は一時的な収入源としては有効ですが、将来設計を考えるなら正社員を視野に入れるべきと考えています。
工場派遣を続けるか辞めるか、判断するために
「工場派遣をこのまま続けていいのか、それとも辞めるべきなのか…」と悩む人は多いはずです。
短期的に収入が得られる一方で、将来の不安を抱えながら働き続けるのは、大きなストレスになります。
この章では工場派遣を続けるべきか、辞めるべきかの判断の材料となる3つの視点を紹介します。
まずは自己分析で自分の適性を知る
自分が工場派遣に向いているかどうかを冷静に見極めることが、工場派遣を続けるか辞めるかを判断するための第一歩です。
適性がある人にとって工場派遣は選択肢になり得ますが、向いていない人にとっては長期的に負担が大きくなるため、自己分析はとても重要になります。
あらい自己分析することで自分の強みや適性がわかるので、キャリアでの失敗を防げます。
自己分析ツールとして、おすすめなのがミイダスです。
ミイダスでは質の高い自己分析や適性診断を、無料で受けられます。
ミイダスに関して、詳しくは次の記事をご覧ください。
将来を考えるなら正社員を目指す選択肢もある
安定した将来を望むなら、正社員という働き方を検討すべきです。
正社員は昇進や昇給、福利厚生があるため、長期的に見るとメリットが大きいからです。
夜勤がない正社員を目指すなら、リクルートエージェント
夜勤のない正社員を目指すなら、リクルートエージェントがおすすめです。
リクルートエージェントは幅広い業界や職種の求人を保有し、業界求人数および転職支援実績No.1の転職エージェントです。
求人紹介から応募書類の添削、面接対策、入社後のサポートまでを無料で受けられます。
リクルートエージェントに関して、詳しくはリクルートエージェントの評判は悪いのか？失敗しない活用のコツをご覧ください。
大手工場の正社員を目指す方法もある
雇用の安定や年収の高さを求めるなら、大手工場の正社員がおすすめです。
大手工場の正社員であれば、年収の高さや福利厚生の充実、労働組合があることにより従業員が守られるといったメリットがあるます。
大手工場に関して、詳しくは次の記事をご覧ください。
大手工場勤務のメリット・デメリットや、転職方法について解説しています。
転職活動を始める前に準備しておくべきこと
転職を決断したら「最低限なんのために転職するのか」転職の目的を明確にしておきましょう。
転職の目的を明確にしておくことで、転職を繰り返すリスクを防げるからです。
たとえば転職の目的が家族との時間を大切にすることだった場合、残業や休日出勤の多い職場に転職してしまうと、目的が達成できずに早期退職につながります。
あらい転職を決意したら、最低限、転職の目的だけは明確にしておくことをおすすめします。
工場派遣を辞めるときの注意点2つ
「工場派遣を辞めたい」と思ったとき、感情的に行動してしまうとトラブルにつながる可能性があります。
とくに派遣は派遣元と派遣先の2つの関係が絡むため、手続きを誤ると迷惑をかけたり不利な状況になったりすることも。
この章では工場派遣を辞める際に最低限守っておくべきポイントを解説します。
注意点①：登録型派遣（有期雇用契約）の場合、契約期間を守る
登録型派遣（有期雇用契約）の場合、契約期間を守りましょう。
登録型派遣は契約期間が決められており、途中で辞めると派遣先や派遣元に迷惑がかかるからです。
派遣会社の雇用形態は、登録型派遣と常用型派遣の2つがあり、登録型派遣は契約期間を守る必要があります。
- 登録型派遣＝契約期間中に辞められない（例外あり）
- 常用型派遣＝正社員と同様、退職日の2週間前に申し出れば辞められる
ただし民法第638条おいて登録型派遣は、やむを得ない事由（体調不良・家庭の事情など）がある場合は、直ちに契約の解除できるとされています。
また労働基準法第137条において「当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職できる」とされています。
なお常用型派遣（無期雇用契約）は正社員と同様の扱いなので、退職する2週間前に退職の意志を伝えれば、退職可能です。
注意点②：派遣先よりも先に派遣元の派遣会社に退職の意志を伝える
辞めたいときは、まず派遣元（派遣会社）に伝えるのが正しい流れです。
派遣社員が雇用契約を結んでいるのは派遣会社であり、派遣先企業ではないからです。
厚生労働省の「労働者派遣事業について」では、派遣元である派遣会社と労働者（派遣社員）が雇用関係にあると明記されています。
トラブルを避けるためにも、退職の手続きは派遣元を必ず通すようにしましょう。
「工場派遣はやめとけ」に関するよくある質問とその回答
まとめ：工場派遣は長期的には不利
この記事の大事なポイントをまとめます。
- 工場派遣は手軽に働けて高時給を得やすい一方、契約期間や待遇面での不安定さから「やめとけ」と言われることが多い働き方です。
- 派遣は収入の波が大きく、正社員登用や昇給が期待しにくいため、将来的なキャリア形成や生活設計に不安が残る点がデメリットです。
- 一方で未経験でも採用されやすく勤務地や勤務時間を選べる柔軟性があり、派遣会社のサポートを受けられる点はメリットといえます。
- 「短期的に稼ぎたいのか」「長期的に安定したいのか」という軸で考えることで、工場派遣が自分に合っているかどうかを判断できます。
- 辞めると決めた場合は契約期間や手続きを守り、円満退職を意識しながら次のキャリアにつながる準備を進めることが大切です。
工場派遣は夜勤手当や深夜割増、高い時給があり、短期的に稼げるのは事実です。
一方で正社員と異なり、昇進や昇給がなく、専門知識やスキルを身につけづらいため、長期的に考えると不利と言えるでしょう。
あらい将来のことを考えてキャリアアップしたいなら、正社員を目指すことをおすすめします。
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